美術の世界で人と作品をつなぐ
"画商"のお仕事とは?
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「人と作品をつなぐ“画商”のお仕事って?」
まず初めに、大久保さんがやられているお仕事、"画商"というお仕事について教えてください。
「画商」という仕事を簡単に言うと、作家が制作した絵画、彫刻、工芸作品を自社画廊、もしくは百貨店で展示販売する仕事です。
作家が作品に込めた想いや、その作品ならではの価値を社会に伝える、“人と作品をつなぐ橋渡し役”のような存在が、画商だと考えています。
私は、自社ギャラリーや百貨店の美術画廊で企画展示を行い、お客様に作品の魅力を紹介しています。現在は、年間およそ120回の展示を開催しており、すべて同じ内容を巡回するのではなく、一つひとつ異なるテーマを設定し、そのテーマに合った作家を選んで企画しています。
作家によって描き方や作品に込める想い、表現したい世界観も大きく異なります。だからこそ、一人ひとりの作家の個性を尊重し、それぞれの魅力がしっかり伝わるような展示づくりを心がけています。 -
大久保さんの会社では、どのような美術作品を取り扱っているのでしょうか?
私たちは、若手作家を中心に、幅広いジャンルの美術作品を取り扱っています。日本画や洋画をはじめ、立体作品、現代アート、抽象絵画など、その種類はさまざまです。
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「フランス留学での経験を活かしたい」
なぜ、大久保さんは画商というお仕事を目指したのでしょうか。
私は、もともと美術やアートが特別好きで画商になりたいと思っていたわけではありませんでした。一般の大学を卒業後、フランスへの留学を経験したことをきっかけに、帰国後は「フランス語を活かせる仕事がしたい」と考えるようになりました。そんな中でたまたま出会ったのが、画商の仕事でした。最初は、フランス人画家が来日した際の通訳やサポート、フランス語で書かれた資料の翻訳などを担当していました。私にとっては、 “アートへの強い憧れ”というよりも、“語学を活かしたい”という思いが、この仕事に始める最初のきっかけでした。
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「作品の魅力を伝えることが、画商にとって大切な力」
画商になるために必要なスキルなどがあれば教えてください。
画商になるために、必ず必要な特別な資格があるわけではありません。しかし、美術の歴史について学んだり、大学や専門学校などを通して、「どうすれば作品の魅力を多くの人に伝えられるか」を考える力を身につけることは、とても大切だと思います。
そして何より重要なのは、「作品の魅力を伝えたい」という気持ちです。画商は、作品に込められた想いや魅力を、お客様にわかりやすく伝える役割があります。知識や経験を積むことも必要ですが、それ以上に「作家さんが一生懸命に作った作品の良さを、多くの人に届けたい」という思いが、画商として仕事を続けていく上で、大きな力になると感じています。
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「作家とともに成長できることが、画商のやりがい」
大久保さんにとって画商のやりがいや大変と感じるところを教えてください。
私にとって画商のやりがいは、作家さんが成長していく姿を近くで見られることです。活動を始めたばかりの頃から関わり、初めて作品が売れた瞬間や、個展が開かれる場面に立ち会えた時には、大きな喜びを感じます。作家さんの努力が形になっていく過程を一緒に歩めることが、この仕事の魅力だと思っています。
一方で、うまくいくことばかりではありません。美術の世界では、思うように結果が出ず、途中で夢をあきらめてしまう人も少なくありません。悩みや不安を抱える作家さんに寄り添いながら支えていくことに、難しさを感じることもあります。
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「若手作家の登竜門‐“見参”とは?』
八犬堂さんがやられている展示会-“見参”とは、どのような展示会なのでしょうか?
私たちは、若手作家の発掘や、活躍できる場づくりにも力を入れています。その活動の代表的なものが、展示会“見参(けんざん)”です。もともとは、美大生や若手作家たちが自主的に行っていた展示会の運営が難しくなり、「手伝ってほしい」と声をかけてもらったことが始まりでした。最初から「若手支援をしよう」と大きな目標を掲げていたわけではなく、頼まれたことを一つずつ支えていく中で、現在の形へと発展していきました。
見参では、これから活躍していく若手作家たちの作品を多くの人に見てもらうことができます。今では、「若手作家の登竜門」として知られる展示会になり、多くの作家にとって大切な場となっています。
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そのような若手作家さんと関わる中で、印象に残っているエピソードはありますか。
ある展示会で、少し自信をなくしている若い作家さんがいました。その時、私が信頼しているコレクターの方が、その作家さんの作品を見て、「これが一番いい作品だ」と話してくださったんです。私はその言葉を本人に伝えました。すると、それまで見たことがないほど嬉しそうな表情を見せてくれました。その姿を見て、「自分の作品を認めてくれる人が一人でもいる」ということが、作家さんにとって大きな支えになるのだと実感しました。画商の仕事は、作品を販売することだけではありません。作家さんが自信を持ち、「これからも作品を作り続けよう」と思えるよう支えることも、大切な役割なのだと感じた出来事でした。
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「出会いや環境が、人を大きく変える』
ここからは、大久保さんの学生時代のお話をお聞かせください。大久保さんが中高生の頃はどんな学生でしたか?
小学生の頃の私は、トラブルを起こしてしまうこともあるような子どもでした。正直、あまり優等生とは言えない子どもでした。しかし、中学生になると、周りの環境や先生との出会いをきっかけに、自分自身が大きく変わっていきました。生徒会活動にも積極的に取り組むようになり、以前よりも前向きで明るい性格になったと思います。高校では、バンド活動に夢中になり、仲間と一緒に音楽を作ったり、練習を重ねたりした時間は、今でも大切な思い出です。
だからこそ私は、「子どもの頃にどう見られていたか」で、その人の将来が決まるわけではないと思っています。人は、出会いや環境によって大きく成長し、変わることができる――それを自分自身の経験から強く感じています。
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「“好き”を大切にして、挑戦を続けてほしい」
この記事を読んでいる中高生へ、アドバイスをお願いします。
中高生のみなさんには、ぜひ「自分が好きだと思えること」を見つけてほしいです。音楽でも、スポーツでも、絵でも、どんなことでも構いません。自分が夢中になれるものに出会えたら、ぜひ本気で取り組んでみてください。もちろん、今はまだ、好きなことが見つからないという人もいると思います。でも、焦る必要はありません。これからの出会いや経験の中で、「これが好きだ」と思えるものにきっと出会えるはずです。
そして、何かに挑戦し、夢や目標が思い通りに叶わなかったとしても、自分を否定しないでほしいと思います。挑戦した経験そのものに価値がありますし、その経験が新しい道につながることもあります。大切なのは、失敗を恐れず、何度でも前を向いて挑戦し続けることだと思います。
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私のおすすめの1冊!
「自分らしく生きることを教えてくれる一冊」大久保さんが中高生におすすめの本を紹介してください。
中高生のみなさんにおすすめしたい本は、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」です。私は昔から、実際に生きた人物を描いた伝記や歴史小説が好きなのですが、その中でも特に印象に残っている作品です。
この本に登場する坂本龍馬は、いわゆる“優等生タイプ”の人物ではありません。長所も短所もはっきりしていて、自分の考えを大切にしながら、自分らしい生き方を貫いていきます。それでも、多くの人を惹きつける魅力があり、自分の力で新しい時代を切り開いていく姿には、とても強さを感じます。
中高生のみなさんにとっても、「自分らしく生きること」や、「自分の信じた道を進むこと」について考えるきっかけになる一冊だと思います。ぜひ読んでみてほしいです。
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探究チャレンジ!
「日本の文化や芸術を豊かにしていくためには、どのような支援や仕組みが必要か考えてみよう」大久保さんが、中高生に考えてほしい探究テーマを教えてください。
ー「考えてほしいこと」
「日本には、絵画や音楽、映画、伝統工芸など、たくさんの文化や芸術があります。しかし、日本はほかの先進国と比べて、文化や芸術に使われる予算が少ないと言われています。芸術作品には、すぐ人気が出て売れるものもあれば、すぐには評価されなくても、長い時間をかけて価値が認められるものもあります。しかし、作家やアーティストが生活のために“売れる作品”ばかりを作らなければならない環境になると、本当に表現したい作品に挑戦しにくくなってしまいます。
その結果、新しい表現や個性的な作品が減り、日本の文化全体の豊かさや多様性が失われてしまう可能性があります。では、芸術家が安心して活動し、さまざまな作品が生まれる社会にするためには、どのような支援や仕組みが必要なのでしょうか?国の制度、企業の協力、学校教育、地域の活動など、さまざまな視点から考えてみてください。」
ー「基本知識」
「“文化支援”とは、国や自治体、企業などが、美術・音楽・演劇・伝統文化などを守ったり発展させたりするために行う支援のことです。たとえば、補助金を出したり、美術館やホールを運営したり、若手アーティストを応援したりする活動があります。」
↓↓ここからはワークシートとともに学習を進めていこう!!
ー「学習の進め方」
STEP1『探究テーマ』:
「日本の文化や芸術を豊かにしていくためには、どのような支援や仕組みが必要か考えてみよう。」
STEP2『原因の予想』:
「なぜ日本では、文化や芸術に十分なお金や支援が集まりにくいのか?原因を予想してみよう。」
STEP3『調べる』:
「文化支援が充実している国や、企業・地域が芸術活動を支えている例を調べてみよう。また、芸術家がどのような工夫をして活動しているのかも調べてみよう。(例:クラウドファンディングの活用、地域イベントへの参加、SNSでの発信など)」
STEP4『解決方法を考える』:
「調べたことをもとに、日本の文化や芸術を守り、発展させていくためには、どのような支援や仕組みが必要か考えてみよう。(例:若手アーティストへの支援制度、学校で芸術に触れる機会を増やす、企業によるスポンサー制度など)」

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